問 診
糖尿病の診察を希望している方には、糖尿病用の問診表に記入していただきます。
問診表の項目は変更する場合がございますが、大まかな内容には次の質問が含まれます。
① どのような理由で受診したか
② 今後どのような治療をしてゆきたいか
③ 今までの病歴
④ 血縁者の病歴
⑤ 過去最大の体重
⑥ 生活習慣(アルコール、喫煙、食事、運動)
⑦ 出産について(女性のみ)
⑧ 他院にて糖尿病と診断されている方は、その治療経過や薬、眼科受診の有無など
問診は、患者さんのこれまでの状態や現在の状態を知る上で、重要なものとなります。また、医師が治療方針を決める上でも大変参考になります。
糖尿病用問診表ダウンロードはこちらから
身長・体重
院内の身長・体重計で測定します。結果は印字されます。
血 圧
院内の血圧計で測定します。リラックスした状態で計測してください。結果は印字されます。
尿検査は非常に一般的な検査項目の一つで、健康診断等でも利用されています。患者さんにとって痛みがないのも特徴の一つで、様々な病気やその兆候を知る事ができます
尿糖
尿に含まれている糖の割合を調べたものです。通常糖は血液が腎臓でろ過されたもので、尿として排出される前に細尿管で吸収されますが、血糖が過剰な場合吸収しきれずに尿で検出されます。過剰な場合糖尿病や腎障害の恐れがあります。
尿蛋白
尿の中に蛋白質が含まれていないかの検査です。陽性反応があった場合再検査となりますが、尿蛋白は通常でも含まれている場合がありますので、常に陽性反応という場合以外は問題ではありません。
尿潜血
陽性の場合尿の中に血液が含まれていることになります。肉眼でも見える場合もありますが、肉眼では確認できない場合があります。一般的には排出先に近いところで出血している場合ほど色は鮮やかとなります。陽性の場合は主に腎臓や尿管、膀胱といった尿の尿路・尿道になんらかの異常が起きている場合ことが考えられます。
尿ケトン体
糖尿病で尿中にケトン体が出ている場合は、インスリンの不足やインスリン感受性の低下などの理由によって、糖質をエネルギー源としてうまく利用できずに脂肪をエネルギー源として使用している恐れがあります。
血 糖
血糖値は一日の中で変動があり、食事や運動の影響を受けるので目的によって、採血のタイミングは変わります。初診での採血のタイミングは、空腹時のほうが望ましいです。
通常の糖尿病の診察においての採血では、前回の食事の時間を伺います。
空腹時血糖 | 食後血糖 | |
意 味 | 前日の夕食から10~14時間絶食した状態での検査値 | 食後に採血した検査値 |
健常者 | 70~110 mg/dl | 110~160 mg/dl |
注意点 | 特定健診では100mg/dlを基準としている | 食べ始めからの時間を併記 |
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)
過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映するため、採血をする数日前に食事量を抑えても、良い結果が出るとは限りません。また、食事や運動療法を行なっていても、その結果が検査値に反映されるには時間がかかります。
もっと詳しく!
HbA1cとは、赤血球中に含まれるヘモグロビンという蛋白質にブドウ糖が結合したものです。すべてのヘモグロビンのうち、どれくらいブドウ糖と結合しているかを割合で示すため、単位はパーセント%になっています。
赤血球は約120日間にわたって体内を巡り続けますが、その寿命に比例して少しずつヘモグロビンとブドウ糖がくっつきます。赤血球は毎日1/120ずつ新しく作りかえられています。このことから、HbA1cの値は60日(1~2ヶ月)の血糖値の平均を反映するといわれ、血糖コントロールの状態をみるのに用いられています。
血糖コントロールの指標
血糖コントロールの目標は、患者さんの年齢および病態を考慮して、患者さんごとに主治医が決定します。
指標 | 優 | 良 | 可 | 不可 | |
不十分 | 不良 | ||||
HbA1c(NGSP) | 6.2未満 | 6.2~6.9未満 | 6.9~7.4未満 | 7.4~8.4未満 | 8.4以上 |
HbA1c(JDS) | 5.8未満 | 5.8~6.5未満 | 6.5~7.0未満 | 7.0~8.0未満 | 8.0以上 |
空腹時血糖値 | 80~110未満 | 110~130未満 | 130~160未満 | 160以上 | |
食後2時間血糖値 | 80~140未満 | 140~180未満 | 180~220未満 | 220以上 |
※HbA1cは2012年4月から、今まで使われてきたJDS値からNGSP値(国際標準値)を使用することになりました。これまでの数値に0.4を足すと、国際標準値となります。
75g経口ブドウ糖負荷試験
耐糖能障害や発症早期で食後高血糖のみ認める糖尿病では、空腹時血糖値が正常な人とあまり変わらないことがあり、食後の高血糖を見逃すことになります。
しかし、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行なうと、空腹時のみならず食後の血糖値の変動を明らかにすることができ、結果から正常型、糖尿病型、境界型に区分することができます。
また、同時に血中インスリンを測定することにより、インスリンの分泌能を評価することもできます。
検査方法
前夜21時以降は絶食とし、空腹のまま来院してもらいます。空腹時の血糖値を調べ、その後75gのブドウ糖を溶かした液体を飲み、30分、60分、90分、120分の血糖値を測定する検査です。
検査終了までは水以外の摂取は禁止し、禁煙の上安静にしてもらいます。検査には約2時間かかります。
空腹時 | 負荷後2時間 | 判定 | ||
血糖値 | 126mg/dl以上 | または | 200mg/dl以上 | 糖尿病型 |
糖尿病型にも正常型にも属さないもの | 境界型 | |||
110mg/dl未満 | および | 140mg/dl未満 | 正常型 |
空腹時血糖126mg/dl未満でも、負荷試験で200mg/dl以上を示す場合が決して少なくなく、網膜症の出現が認められることがあります。したがって、糖尿病の疑われる場合には、この糖負荷試験を施行し、早期発見する努力が必要と言われています。
負荷試験が正常型であっても、1時間値が180mg/dl以上の場合は、180mg/dl未満の場合に比べて糖尿病に移行する危険が高く、境界型に準じた取り扱いが必要と言われています。